オフィスレディの裏の顔

　次の日マリコは会社を休んだ。すでに鶴見さんの前妻との復縁話を知っていた様子だったけど、それが私の耳にまで届いたことでリアルに感じショックを受けた様子だった。私も彼女にどう接していいかわからなかったので、逆に休んでくれてホッとした。なのに・・・話を聞いてほしかったのか、マリコからメールが届いた。会社が終わる頃近くで待っているからお茶したいというお誘いだった。私は定時で会社を出てマリコの待つカフェへ向かった。

　マリコは普通を装ってタバコをふかしながら座っていた。私を見つけるとうれしそうに手をふった。

「おつかれ〜。」

「マリコ大丈夫？」

「ごめんね、来てもらって。」

「いいよ。気にしないで。ちょっと飲み物買ってくるね。」

「あたしおごるよ。何がいい？」

マリコは私に気を使ってコーヒーをおごってくれた。タバコ１本吸う時間沈黙が続いたあと、マリコから話始めた。

「今日鶴見さん会社に来てた？」

「うん。でも遅刻してきたかも。」

「昨日みんなで飲みに行ったでしょ？帰ってから朝方まで電話してたの・・・」

「最近ケンカしてた理由は・・・前妻のこと？」

「そう。たまに連絡してるのは知ってたんだけど。復縁しようかなって言ってきたから・・・」

「マリコは本気で鶴見さんのこと好き？」

「どうして？」

「ときどき気持ち悪いとかカッコよくないとか否定することも言うじゃない？だから・・・好きなのか、ただ復縁されると自分が遊ばれたみたいで悔しいのか、どっちの感情なのかなって。ごめんね失礼な聞き方で。」

「どっちもかな。悔しいのもあるし、実際別れることを考えると、やっぱり好きなのかもって。」

「ふぅ〜ん。」

相手を心から想っているなら、前妻と復縁しようとしている彼を引き止めない気がする。マリコが好きなのは自分自身。別れられるのがただ悔しくて彼を引き止めたいだけだろう。私への返事の言葉を選んでいる風に少しの間沈黙していたマリコが言いずらそうに再び口を開いた。


「実はね・・・」