キスの魔術師
それから7時半まで朝のニュースなどのテレビを見て、7時半から支度を始めた。
教科書などの準備は夜のうちに済ませておくから、あとは顔を洗ったり歯を磨いたり…。
洗面所に行くと、〝晴(ハル)〟がいた。
『…………晴…』
「お兄ちゃんと呼びなさい」
晴はあたしのお兄ちゃんで、高校3年生。
見た目は恭介と違って、チャラそう。
『ちょっとかわって。学校に遅れるじゃん』
「知るかボケ」
ムカチーン…
『いいよねぇ、晴は。学校始まるの9時からだもんね』
「よくねぇよ。俺は不幸人間だし…」
『意味わかんねぇ』
「…お前はいいよな!相思相愛の彼氏がいて!! 俺なんか…俺なんか……」
急に涙目になる晴。