キスの魔術師
ふわっと恭介の香りがして、背中に温もりを感じた。
『…っ……ぅ…っっ…』
だって、あたしは泣いてた。
涙がこぼれてきた。
「ハイジ……、ごめん」
『…?』
「ハイジは、もし俺が行かなくても泣いてただろうな」
『……』
「罪悪感とか感じてさ」
『…』
「……はぁ、もう!!しょうがねぇなぁー!!!」
いきなり大声を出す恭介。
なんだか、いつも通りの恭介に戻った感じがした。
そしてあたしを抱きしめる力を強めると、ハッキリと言った。