キスの魔術師
「よぉ!愛しのハイジー!!」
『おっはよぉ、マイ・ダーリン』
朝の挨拶を済ませて、またいつもと同じように肩を並べて登校する。
もう何回一緒に登下校したかな。
もう何回一緒に肩を並べて歩いたかな。
「なぁ、ハイジ?」
『ん?』
「俺たちの出会い、ちゃんと覚えてる?」
『そんなの…当たり前じゃん!』
「あ、ほんと?俺も、ちゃんと覚えてる」
『あの時はまだ、恭介の身長は170㎝だったよね』
「あ~…そうだったよなぁ」
『……もう2年になるんだね』
「…だな」
そう。
あたしたちの出会いは、2年前の今の時季。
桜が舞い散る春だった。