キスの魔術師
「あのさぁ…、その……居残り終わったら…その……」
目を泳がせて言う恭介は、あたしの気のせいか顔が赤い。
『なにそんなに緊張してんだよ!』
「いや、うん……。その…さ、居残り終わったら……デートしない?」
…………………
『デート?』
「…うん」
『……是非!めっちゃしたい!!ってか久しぶりだね、デートって!春休みぶりくらいかな?』
やったぁ!
デートだッッ。
いっつも一緒に帰るだけだから楽しみ!!
「じゃぁ頑張って早く終わらせよーな、居残り…」
『だね! 一瞬のうちに終わらせよう!!』
ガラガラガラ――
教室のドアが開いて小林先生が入ってきた。