キスの魔術師
「遅れてすまんのぉ。じゃぁこのプリント頑張ってやっとけ」
小林先生はそう言って、1枚ずつプリントをあたしたちに渡した。
プリントを見ると、隅から隅まで文字が書かれてある。
それを見て恭介は先生に向かって言った。
「えーっ、俺らこれからデートっすよ?早く終わらせたいんすけど!!」
「知るか!お前らはいっつもラブラブだろーが!!」
「いやいや。それだけじゃ足りねーっすよ」
「高校生はそれで満足しとけ!俺なんかまだ結婚してねぇんだよ!!」
「いや、それこそ知るかってんだ………ですよ!」
『まぁまぁ。恭介、早く終わらそう?』
「幸村の言うとおりだ! 桐原もちゃっちゃとやれ!」
「小林センセに言われなくても、ハイジに言われたらやりますよーだ」
「……じゃぁ、終わったら職員室の俺の席に置いといてな」
恭介の子供っぽさに呆れた先生。
…まぁ先生もそんな恭介と張り合ってたけどね…。
そんな先生は教室を出ていった。