キスの魔術師


でも面と向かって言うのは恥ずかしいから、あたしは


『なんでもな~い!』


とおちゃらけて言った。




『あー、おいしかった!恭介、ありがとね』


「おー」



アイスを食べ終えると、あたしたちは4階のプリ館に行った。

これは、アイスを食べながら話している時にあたしが〝久しぶりにプリ撮らん?〟って言ったのが始まりだった。



エレベーターで4階まで行き、降りるとそこには当たり一面プリ機だらけ。

ここには、4階全部を使って100機あるのだ。



『このプリ機で撮ろう?』


「んー」



2人で中に入ってお金を入れ、背景を選びはじめた。



『恭介、どれがいい?』


「俺は何でもいい」


『じゃぁあたしが勝手に決めるね~』


「おう。まかせた」


『…まかせられた』



ふざけてそう言い返すと、恭介は笑った。

あたしもつられて笑って、そしたら時間オーバーで勝手に背景が決められた。




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