キスの魔術師
お兄さんはこの前見たときと違い、金髪だった。
もとからヤンキーっぽい感じだったけど、金髪にしたらもっとヤンキーっぽくなった。
「あ、そうなんだよ。…似合う?」
お兄さんは左側の耳の上の髪を後ろに流している。
『もちろん! 超似合うっすよ!! ってか似合いすぎてヤバイくらい…』
「いや、ほめすぎだろ」
でも本当に金髪がよく似合っていた。
普通の男子よりも白い肌を持っているお兄さんは、本当によく似合う。
『…ハッ!ってゆーか、ハイジは?ハイジは何で出てこないんすか?』
俺は最も重要なことを忘れていた。
「あー、ハイジは…」
お兄さんがそこまで言ったとき、玄関が再び開いた。