キスの魔術師
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「ん……んん…」
『ハイジ? 起きたか?』
「……あ、恭介……?」
『ちょうどよかった。今おかゆ作ったとこだったんだ』
ハイジの部屋の時計は、12時30分を指していた。
ナイスなタイミングで起きてくれたハイジ。
その時俺は、あの言葉を思い出した。
――「あたしを一人にしないで」――
夢の中でそう言ったって…。
寝言だってわかってる。
だけど、今の俺にはそんなことでも重症になるんだよ。