キスの魔術師
第5章 心の中の雨雲
『ん……んん…』
「ハイジ? 起きたか?」
『……あ、恭介……?』
「ちょうどよかった。今おかゆ作ったとこだったんだ」
あたしはベッドに寝かされていて、恭介はお盆を持ってベッドに寄りかかって座っていた。
だけどあたしの声に反応して、あたしの方を向いてきた。
『……おはよ。今何時?』
あたしがそう聞くと、恭介はニコッと笑って言った。
「12時30分」
『そっかー。ありがとぉ』
「あ、おかゆ食べれる?」
『え、作ってくれたの?』
「うん。勝手にキッチン使っちった…」
『全然いいよ!ってかありがとぉー』