キスの魔術師
震えた声…。
もしや、…と思いハイジの顔を見るが、予想していた〝涙〟はなかった。
『んなの…俺も同じ』
「あたしは大丈夫だよ」
『…ハイジ可愛いじゃん?』
「…それは恭介だけだよ」
『いいや。俺は知ってる。ハイジがモテてること』
そういうと、ハイジは首を激しくブンブンと振った。
「あり得ないあり得ない!!絶対にありえない!」
……んなに否定しなくても…。
『とにかくっっ、だから、誰かに取られそうで怖いんだよ』