キスの魔術師
それから毎日嫌がらせを受ける日々が始まり、俺は尚樹が大嫌いになった。
「…幸村さん、恭介あと少しで留学だね」
「…そうですね」
警戒し続けるハイジに、尚樹は呆れたみたいに言った。
「まぁ……あと1ヵ月したら警護もなくなるし……」
やっぱ無理だ……。
俺が留学したら―――・・
その時―――
ピンポンパンポン――
≪2年1組の桐原恭介君。至急職員室前まで来てください。繰り返します―――≫
校内放送には俺の名前が…。
「げっ、恭介……。何か悪いことした?」
『いや、してねぇよ!』
…悪いことはしてねぇ…はず。
だぶんあれだ……。
『悪ぃ…。俺行ってくるわ…』