ヘタレな彼が好き
1時間後…
「アメーバのたっくみしゃーーん!
もっと…おひゃけ…ヒックッ」
「ゆりさん…
もうこのへんにした方が…」
「うるひゃいっ!
とっとと、ヒック!
もってきなひゃーいっ!ヒクッ」
あたし呂律(ろれつ)の回らない
舌で拓海さんに言う。
「ゆり、もう帰った方がいいわ。
タクシー呼んであげるから、
もう帰りなさい。」
花音が言う。
「あ、じゃあ俺、
ゆりさんをタクシー乗り場まで
連れていきます。」
拓海さんが言っていたのが、聞こえた。
酒の回った頭で、
ヘタレのくせに、
このあたしに気があんの、フン
と、検討ちがいのあほなことを
考えていた。