ヘタレな彼が好き
けれど、あたしは思った。
どんなに屈辱的な立場にいても、
自分は小林ゆりだ。
自分が自分であるかぎり、前をむいて生きなくてはならない。
ちゃんと地に足をついて、すくっと立ち上がろう。
逃げてはいけない。堂々としよう。
人々に笑われながらも、
元彼に軽蔑されようども、
あたしは立ち上がろう。
自分は小林ゆりなのだから。
あたしは、酔いは覚めたと言えども
まだふらつく足をなんとか立たせ、立ち上がろうとした。
その時…
「けーんとぉ!」
甘ったるい女の声が聞こえた。