ヘタレな彼が好き
HER MIND
「…おさまった?」
どれくらいの時間がすぎたのかわからなかったが、
あたしのしゃくり声がおさまった後、
時間をおいて拓海さんが聞いた。
正直、もうちょっとこうしていたかったが、あたしは顔をあげた。
「…っ!」
思いのほか、顔が近くにあって、
あたしの心臓がドクッドクいいだした。
あたしは困惑した。
今まで、キスやそれ以上のこともしてきたが、
これほどまでに心臓がうるさくなったのは初めてだった。
「大丈夫?
顔があかいよ。
やっぱり熱があるんじゃ…」
「あわわわ!
大丈夫です。
すみません…公衆の面前でこんなことしてしまって…
あ、あの私、片づけますんで!」
あたしは、はやる心臓をごまかそうと、早口で言った。