ヘタレな彼が好き
「そんなの店の人がやってくれるよ。
ほら、いくよ。
家まで送るよ。」
あたしは拓海さんの声に流されて、
もう一生くることのないクラブを後にした。
***
なぜあたしは、家まで送ることを許したんだろう。
あたしは、拓海さんとタクシーで自分の家へ向かいながら思った。
あたしは、絶対に酔っている時に男に家へは送らせない。
今は、酔いは覚めたといえども、まだ体はフラフラしているのだ。
「なんかあたしらしくない。」
思わず、口から思ったことを言った。