*天然彼氏の観察日記*
『あたしっそんなきゅ、急になんて…稜斗いるしっ、それに、隆――』
「あはははは!!!」
―――あ、…え?
「はー、面白い。稜斗の前で、んな事言う訳ねーし。冗談だよ。ま、いなかったら別だけど。」
最後の言葉はあたしだけに聞こえるように言ってきた。
りょ、稜斗は怒んないの!?
隆介さんの方に向いていた顔を稜斗に向け―――られ、ない?
なんで!?
頭には、ゴツゴツした感触がある。
なでられているような…。
って、あたしなでられてんじゃん!!
稜斗の方向に向けないから、どんな顔してんのか知らない。
『隆介さん…早、く学校行きま…、え?』
言葉が途切れる。
だって、あたしの前には隆介さんが立っている。
それも、あと数メートルで学校ってトコなのに。
『隆介さん?なにしてるんですか?』
彼はニヤッとして、
「んー、通せんぼ?」
通せんぼ?
あー!!分かった。
チャイムがなるまでに隆介さんをすり抜けて学校に着いたらゴール!ってゆーゲームね!!
よしっ。頑張ろ!!