*天然彼氏の観察日記*
隆介さんの眉間に皺が寄っていて、びっくりするくらい恐い。
『…はい。』
「じゃ、返信すんな。」
『えっ?』
「今は俺と食ってんだから、他の男の話すんじゃねーよ。気分悪くなる。」
小さい声だけど威圧感がある。
そ、束縛ってやつ?
あたしら付き合ってもないよね…?
『…ごめんなさい。』
「――あ、ごめん。つい…。」
『いや…大丈夫です。』
作り笑顔で返事する。
やば…引きつったかも…。
「してもいいよ。」
『何をですか?』
「返信。稜斗は唯ちゃんのカレシだから、俺がなんか言う権利とかないじゃん?」
『そんなっ…人はみんな生まれながらにして言論の自由があるんですよ!そんなこと言わないで下さい!』
思った事をただ言っただけなのにクスッと笑われた。
「固っくるしいこと言わなくていいから。まだ彼氏にはなってないし、命令すんのは彼氏になってからする。」
『え、それってどうゆう―――』
言葉はチャイムと同時に掻き消された。
昼休みの終わりを告げるチャイム…。