*天然彼氏の観察日記*
も、やだぁ…。
『誰かあたしを立たせて…。』
声にならない声で叫んでみた。
誰もいるはずないよね。授業中だもん。
半分諦めようとしたとき、後ろから声がした。
「榛澤じゃん。なにしてんのこんなとこに座って。」
ぱって後ろを振り向くと、一年のころから同クラの雅哉(まさや)がいた。
『雅哉…助けて…。』
雅哉は仲のいい男友達ってとこ。
「どーした?立てない?」
頼りがいがあるいい人。
たまに相談相手になってくれる。
そうゆう性格が女子から人気がある。
かっこいいし。
『うん…。立てないし、保健室も行きたいの。』
「ほら。手。」
目の前にある手を掴むと、ぐいっとものすごい力で引っ張られた。
その反動で雅哉の胸の中にぽすっとおさまった。