*天然彼氏の観察日記*
そのまま引っ張られて外に連れてかれて、校舎を出る。
街灯はなく、月だけが寂しく光っていた。
稜斗にメールしたほうがいいよね…?
来て、って。
ポケットにある携帯を取り出そうとすると、一緒に中に入っていたらしきものが地面に落ちて転がった。
明かりはないけどぼんやりとわかる。
あれは、稜斗がいつも持ってるアメ?
反射的に、転がっているアメを掴もうとした。
あとちょっと…、のとこでまたコロコロと転がっていった。
「ちょ、唯ちゃん!痛い。何やってんの?」
あ…。
手繋がってるままだった…。
『ごめんなさいっ!アメが…。早く!とりに行かないと…。』
緩んでくる手をパッと離して、アメの後を追う。
ここは坂道だからアメはどんどん加速しながら落ちていく。
途中、何かにつまづいた気がしたけど今は気にしてらんない。
坂道の下までいったとこでアメは止まりやっと掴まえられた。
息を整えてから隆介さんのとこに戻ろうとすると――――