*天然彼氏の観察日記*
「てめぇ…兄貴の足蹴っただろ!」
頭をワックスでガチガチに固めた男が三人程、目の前に立ちはだかっていた。
「俺らの兄貴に喧嘩売るとか、どんだけ馬鹿なんだよ!」
「あーあ。俺の足が折れちまった。これは慰謝料払ってもらわねーとな。」
慰謝料…?
なに言ってんの、この人達…?
あたしなんにも―――あ…。
「おい。なんか言えよ。」
兄貴。と呼ばれている人が言う。足なんか折れてないじゃない…。
『……足、折れてないんじゃ…?』
「は!?足蹴ったくせに何言ってんだよ!?金出せよ。」
金、って…。
今あたし持ってない…。
『お金…ない、です…。』
「あ゙?お前ら探せ。」
「「はい。」」
その言葉とともにあたしに触る手。
気持ち悪い…。