恋に恋した5秒前
「…まじか?」
京平は遠目で僕を見る。
なに、これ。
「ああ。」
「ほんとに?冗談じゃなくって?」
「冗談だったらわざわざ公園呼ばない」
「うーん…、そっか」
そっかそっか、となぜか京平は頷くと、腕を組んだ。
「オレはお前の決めたことには、何にも口に出さない。応援する!」
「うわっ」
すると京平は僕に飛び込んできて。
「夜に男二人抱き合うのはちょっと問題が…」
「別に深い意味ねーじゃん、ハグだよハグ。でもやっぱりレンは行っちゃうんじゃないかと思ってたわ」
「…行っちゃう?」
「おう。オレ知ってたんだ、顧問のティーチャーにレンがバスケ留学誘われてるの」
知ってたのか…
「じゃあ、『オレにちょっとくらい相談しろよ』とかずっと思ってたりした?」
恋に言われた言葉。
きっと京平もそう思ってたに違いないんだ。
「…は?そんなの思うわけねーじゃん。ここ数日レンがもやもやしてたのは、きっと悩んでんだろーなってずっと思ってた。だけどオレがどうこう言っていい問題じゃないし」
京平の手がにゅっとのびた。
その先にはVサイン。
「きっとれんちゃんはね、嫉妬してんだよ」