恋に恋した5秒前
「優勝楽勝必勝いちくみ〜パッパラー♪」
優勝記念の缶ジュースを手に、僕たちは帰っていた。
勿論歌っているのは京平だ。
「レナには悪いけど、優勝しちったな〜」
「そうだな」
…高橋は部活で集まりがあるらしく、男二人で帰宅中。
「…皆も。」
ふいに京平がつぶやく。
「皆も、ほんとはもっとレンと仲良くなりたいって思ってたんだよ。その色紙にも書いてある通り」
「うん。わかる」
教室に集まり渡された色紙は、皆からの様々なメッセージが書かれていた。
「…オレの読んだ?」
「読んでない。」
「なんだよ読めよー。ほら」
そう言われ、僕は京平からのメッセージを読んだ。口に出して。
「ちゃんとオレは海外にいる奴とでも使えるケータイだから、お前もそれにしろよ!…?」
…それが留学する奴にかける最後のメッセージか?
「僕もその海外でもいけるやつだから大丈夫だよ…」
「おお、よかった。んでさ、もう一個聞きてえことあるんだけど」
「なんだよ」
「―恋にさ、今日告るつもりだった?」