恋に恋した5秒前



―またか。


もうそれ言わないで欲しいんだけど。

…って言ったら、なんでか必ず聞いてくるし。


明日告白するからって言っても、京平や恋に嘘をつくことになるし。



「あのさー、れんちゃんに届け物あるんだけど、レン行ってくれない?」


何も答えていないのに、また話が変わった。


「…なんで僕なんだよ」

「えーだってー。最後の挨拶くらいしてこいよー。あ、コレ、プリントと缶ジュース。れんちゃんの分」

そう無理矢理に僕の両手に持たせた。
行くこと決定?

というか、恋は隣のクラスなのに缶ジュース?


「京平もついてくるだろ」

気付くともう国道の交差点。


「…いや、行かない」

「なんでだよ」

「風邪うつされちゃ困るからな!レナをこれ以上心配させちゃあダメだろ」


…僕が風邪引いてもいいってことかよ。


「〜じゃあ。行くから。またな」

そう言った僕は両手に色紙とプリントと缶ジュースを持って、真っ直ぐ進む。


「明日お見送り行くわ!夕方なんだろ?」

「ああ。顧問も来るって!」

「げっ。 ま、レンの為だ、行ってやるよ」

「はいはい(笑)」


またいつもの微妙な会話をしてから、僕たちは別れた。







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