恋に恋した5秒前



「…あ、レンです。大丈夫?出てこれる?」


違っていた。


「うん。大丈夫。今開けるから待ってて」


恋を見たら、また好きが溢れ出す。

そんなこと以前に、声を聞いただけで気持ちが溢れ出た。




「…入っていいよ」

パジャマ姿で髪がボサボサな恋が言う。

顔が真っ赤だ。熱がひどいらしい。


僕は玄関で立っていると、恋がリビングに呼んでくれた。

「…体育祭だったでしょ。冷たいお茶でも飲んで休憩して行って。」


その言葉で気付いたのが、体育祭の後だから僕が汗くさいってこと。

まずい。
恥ずかしい。



「お邪魔します……」



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