恋に恋した5秒前
「…ごめん、コップ倒した」
「い、いいよ。割れてないし、お茶も入ってなかったし!」
あれ、僕まで熱なのかな、顔が熱い。
「じ、じゃあ帰るね」
…完全に動揺してる。
だけど、
隠さなきゃ
リビングのドアに手をかけた瞬間。
「待って!」
恋が、
「ねえレン。あたしさ、」
こんなにも苦しいなんて
「何?」
初夏の日差しが見えた頃。
僕らは出会ったばかりで。
出会ったばかりのきみに
僕は恋をして。
「あたし、レンのことが好き…」
こんなことってナシでしょ、普通に。