恋に恋した5秒前
道路を横断して公園へと向かう。
「恋!」
そう呼ぶと彼女は振り向いた。
「…レン!!」
瞳がみるみる大きくなる。
かなり驚いているらしい。
「レン…もう搭乗の時間なんじゃないの?」
「……。」
「なんで?早く行きなよ!まだ急げば間に合うかも知れないじゃん!」
「……。」
「え?」
僕は抱きしめた。
「…なんでこんなところに居るの」
「え…」
離したくなかった。
『もう君を離さない』なんてかなりクサイ、いつもの僕なら吐き気がする台詞があるけど、それって正解だと思った。
「なんで居るの」
「なんでって…ここで拝みに」
「何を」
「レンの飛行機を…?」
「何やってんの(笑)」
いや、だって…と少し困った表情をされたから、僕は少し恋から離れた。
「理不尽なんだけど…」
ずっと言いたかったことを言う。
「好き。恋が」