恋に恋した5秒前
3 レギュラー
あれから何度か彼女とメールはしたが、まだ日本のケータイには慣れないらしい。
変換ミスや、意味不明な絵文字がよくついてくる。
それが可愛くも思えて。
良いように考えるのは、人間の駄目なところだな。
自分が恋をして、なんでこんなに客観的なのか不思議だった。
「レンー!」
いつもの男の声とは違った、少し高くてやわらかな声が廊下を響く。
「あ、恋。」
「うん。あのさ、レンってバスケ部なの?」
「そうだけど…どうしたの?」
廊下で二人、他には誰もいない空間かのように、時が止まった。
周りが自然と見れなくなる。
「そうなんだ!あたし、チアやってたの、バスケの応援とかもしてたんだ!今日部活見に行っていい?!」
こんなに楽しそうに話す彼女に驚くとともに、なぜかどうしようもないくらいに嬉しかった。
「いいよ。今日は練習試合するし、見に来て」