恋に恋した5秒前
「おいパスっ」
「ハチー!いけ!」
「よっしゃあ!」
相手高が来るまで、体育館で自主練。
体育館の2階には、部活が休みの高橋と、恋がいた。
笑ってるよ二人共。
仲良かったんだ…
「あ。」
見ているのがバレた。
恋と目が合う。
二人に僕は手を振った。
「がんばって」
という彼女の声を聞いたなら、恥ずかしくなってそっぽを向いてしまう。
「レン、来たって。」
京平に肩を叩かれて、僕は体育館の隅っこに走っていく。
相手は皆身長が高い。
軽く180はありそうなくらいだ。
僕たち1年は2年生の隣に並び、レギュラーの先輩たちが相手高と握手するのを見守る。
バスケは5人という決まりがあるから、レギュラーはもちろん、準レギュラーも気はぬけない。
僕も中学のとき、レギュラーギリギリで危なかった思い出があるから。
「只今より三條高校対三島高校の練習試合を始めたいと思います。選手は並んで」
体育館の1コートを使って、審判の笛の音と共に試合が始まった。