恋に恋した5秒前
試合前、顧問から聞かされたこの言葉。
「この試合の後、総体に出るレギュラーメンバーを決めようと思う。皆しっかりとのぞめよ!」
僕にはまだ無関係だけれど、先輩たちの応援はしっかりやろう、そう思ってはち切れるくらい声を出した。
高橋も恋も、必死になって応援している。
「練習試合なのに、観客がいるって不思議だな」
はは、と少し恥ずかしそうに京平は言った。
ああ、高橋か。
彼女はクールビューティーとは言い難いくらいに、試合に夢中になっていた。
目をキラキラと輝かせて、大きく両手を広げながら応援している。
そんな姿をボーっと見ていた時。
「最上、葉山、ちょっと出てみるか」
僕たちは顔を見合わせた。