恋に恋した5秒前
「…僕でいいんですか!?」
試合が終わり、2、3年生が帰った体育館で、僕は顧問とコーチに聞いた。
「いいもなにももう決まったことだろ。1年だからってしっかりしないとレギュラーから外すぞ」
コーチがははっ、と大きな笑い声を響かせる。
隣のいつにもましてメタボリックな顧問が続けた。
「入部したときから目はつけてたんだ。…お前はバスケは上手いが、そのバスケに対する執着心が全くない。だからあえて、バスケに目覚めてもらおうと思って入れてみた。」
「試しにってことすか…」
「言い方悪いぞ(笑)。だが、そういうことだ」
「はい…」
僕は、チケットを手に入れたんだ。
バスケを、未来に出来るかも知れないチケット。
心ではこうなりたいって分かってても、頭ではまだしっかり思っていなかった。
僕の夢は、バスケットボールプレイヤーだ。