恋に恋した5秒前
「…あ、今日はここでいいよ。あたし大丈夫だから」
国道の交差点。
恋はそう言った。
昨日はここを通り越して、心配だから恋の家のそばまで送ったんだけれど。
「別にいいのに、なあ」
僕は京平に同意を求める。
…というか、送らせてくれ。
そう思ってはいても、口にはしない。
「れんちゃんがいいって言ってんだから、いいんじゃね?」
「京平!!!」
「はあ?」
…ふがいない、取り乱してしまった。
「ここまで送ってくれただけでも嬉しいよ。レンってこの国道渡らずにあっち行くんでしょ?」
そう彼女は東の方をさす。
そうなんだけど…
なんで分かったんだ?
「あたしの家のそばまで送ってくれたあと、逆戻りしてたでしょ、国道の方に。」
うわ…
「れんちゃんに気を使わせるなんて最ッ低だな!」
京平まで…
最悪だ、僕って。