恋に恋した5秒前
「じゃ、行こっか!」
恋の一言で、僕たちは駅へと入り、改札を抜ける。
「花火って何時から?」
後ろで高橋の声が聞こえる。
ちらっと後ろを見ると、手を繋ぐ二人がいた。
「えっとな、確か8時からだったような…」
「何そのアバウト(笑)」
「いーじゃん(笑)」
…恋。
心で呼んでみた。
それで恋が振り向いたら、手を、繋ごう。
「ねえねえレン、楽しみだね。花火!」
「そうだね」
…ごめんなさい。
僕は臆病だ。
だから、微笑むことしか出来なかった。