恋に恋した5秒前




「あっ」


高橋の視線を追うと、花火が空へ上がっていた。


ドドン、と大きな花が咲く。



「花火が見える絶景の場所」は、少し丘を登ったところにあった。

登ると言っても、本当に少し。


なのに人は誰もいなくて、ここは僕たちだけの空間。



「綺麗…」

呟く恋と、花火。


似てる。




太陽みたいにぱあっと明るくて、綺麗で、キラキラしてて。




…でも、僕の手には届かない。
触れてはいけない。






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