恋に恋した5秒前
「凄かったねー、花火。浴衣も久しぶりに着れたし、楽しかった」
花火大会が終わり、ぎゅうぎゅうの満員電車に乗って地元の駅で降りる。
京平は、高橋を送ると言って一駅前で下車した。
「恋、もう足は大丈夫なの?」
僕は問いた。
恋は普通に歩いてて、足はすっかり治っているように見える。
「うん。なぜか痛くなくなった。レンの絆創膏のお陰かな」
「そっか」
よかった。
国道沿いのこの道。
車がビュンビュン走っているから、聞こえないだろうという安易な考えと、微妙な期待を乗せて。
「浴衣姿、可愛い」
ちょっぴり近付いてみた。