恋に恋した5秒前
『GO!GO!MISHIMA!LET'SGOLET'SGOREーNっ』
「…お。今度はお前のこと応援してんじゃん」
「そうみたいっすね」
休憩が終わり、また練習が始まった頃。
彼女たちのワントーン高い声が、体育館の外で聞こえた。
「れんちゃん、好きなコ誰かなー」
「…なんで僕に聞くんすか」
「いやあ?お前ら仲いいじゃん、なんかいい感じじゃん」
「そうですかねえ」
…ハチさんは正直人のこういう噂が大好きで、話を聞いていると少し疲れるときがある。
まあ先輩なもんだから、口が裂けても言えないんだけれど。
だけどバスケは天下一品で、僕の尊敬する先輩の一人だ。
「ま、かわゆい後輩がチアやってくれるとなると、燃えるね」
そうハチさんは指をポキポキ鳴らす。
僕はちょいとハチさんに質問。
「あの中に誰か好きな人でもいるんですか」
「…あ、バレた?」
バレバレです。