恋に恋した5秒前
「あっ、アタシここで曲がる」
学校が見えなくなり大通りを抜けると、高橋が言う。
すると京平も自転車の向きを変えた。
「オレちょっとレナ送って帰るわ!だからここで」
「うん」僕らはそう言ったけど、高橋はなんだか遠慮しているらしい。
「アタシ大丈夫だよ、真夏は夜でもまだ明るいし。京平が遠回りになるから、大丈夫。」
「オレはいいの。前も送ったじゃん」
「でも」
「ラブラブだね」
耳元で恋が言った。僕もうんと頷き二人を眺めた。
「でも、なんでこんなにいっつもアタシを家まで送ってくれんの」
「え、普通だよ?」
「普通じゃないよ」
「普通だって(笑)」
「……お互い家が近かったら別にいいけどさ、アタシたち家遠いじゃん。それにっ、大丈夫だから」
あれあれ。
やばくないですか、この感じ。
恋もわかったようで、不安げに二人を見つめている。
止めなくちゃとは思うけれど、止めかたがわからない。
「何、なんでそんな怒ってんの」
京平のこの一言で、彼女は爆発した。