恋に恋した5秒前
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「準優勝って…」
「くやしいよなあ、あと10点入れてたら全国だったのに」
「……。」
バスを降り、家へと帰る帰り道。
そう、僕たちのチームはこの大会、準優勝だった。
準優勝と言えば、良いようなイメージはあるけど、僕には不満だった。
というか、僕の力足らずで。
ハチさんには
「お前は頑張ったよ。点も結構入れてた。ただ、あのチームがめっちゃ強かっただけだって、なっ」
となぐさめられ、
キャプテンにも
「ばーか。おまえが泣いてんじゃねえよ」
と言われた。
…泣いてないし。
「てゆーかレン。あんとき泣いてただろ(笑)?」
こりゃまた勘のいいこと。
京平がずばり言った。
「泣いてないよ。汗拭いてただけ」
「ふうん…そっか。」
あれ、案外あっさりと引いてくれたな。