恋に恋した5秒前






―――――――――――




「準優勝って…」


「くやしいよなあ、あと10点入れてたら全国だったのに」


「……。」




バスを降り、家へと帰る帰り道。

そう、僕たちのチームはこの大会、準優勝だった。


準優勝と言えば、良いようなイメージはあるけど、僕には不満だった。

というか、僕の力足らずで。


ハチさんには

「お前は頑張ったよ。点も結構入れてた。ただ、あのチームがめっちゃ強かっただけだって、なっ」

となぐさめられ、


キャプテンにも

「ばーか。おまえが泣いてんじゃねえよ」

と言われた。

…泣いてないし。


「てゆーかレン。あんとき泣いてただろ(笑)?」

こりゃまた勘のいいこと。
京平がずばり言った。


「泣いてないよ。汗拭いてただけ」

「ふうん…そっか。」


あれ、案外あっさりと引いてくれたな。






< 90 / 152 >

この作品をシェア

pagetop