夏海<Natumi>
 息苦しくなって、どちらともなく唇を離すと、思わず笑みがこぼれた。
「大好きだよ」
 女の子が言った。男の子はちょっと恥ずかしそうに、女の子を優しく抱きしめた。
 このまま時間が止まればいいのに。男の子はそう思った。このまま愛に満たされればいいのに。女の子はそう思った。
「オレも…大好き」
 自分から『大好き』というのは初めてだった。そして、最後だった。
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