私vs国連 〜悲劇の世紀末救世主伝説〜
「「L・O・V・E、ラブリー、ひかり〜〜!!」」
『みんな〜〜!だいちゅき〜〜〜!!」
「「オレも〜〜〜〜!!!」」
もはやこういった会場には必要不可欠となった、無駄にカロリーを大量に消費している集団を横目で見ながら、斎藤通彦(さいとうみちひこ)は本日5度目となる溜め息を深々とついた。
大学中退という輝かしい経歴を持つニート界のホープである彼だったが、今回のコミケで地元のニートの師であるマスター・レモンから指定されたコスプレは、彼のニートとしてのプライドを傷つけるには十分であった。
豊か過ぎる肉体につけられているのは、サスペンダーとズボンのみ。頭にはハゲのヅラをつけられ、顔には髭を描かれた。
そう、「北斗の拳」に出てくる悪役、「ハート」のコスプレだった。
(今時、こんなの知ってるヤツなんていねーって…………。)
どうせなら、もっと女性に騒がれるようなコスプレをしたかった彼だったが、ニート界の顔役であるマスター・レモンの命令に背ける筈も無く、渋々、こんな半裸を晒す格好でこの会場に居る。
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