私vs国連 〜悲劇の世紀末救世主伝説〜
二人のただならぬ雰囲気に、周りの人々も何か始まるのかと三々五々集まってきた。
間を置いて対峙する二人。男はマントを脱ぎ捨て、青い上下の服を晒した。
「ユリアは何処だ…………?」
その見事なコスプレと、神谷明を彷彿とさせる渋い声。あまりの完璧さに、群集からはどよめきが起こった。
「ブッヒッヒ、知りたくば私を倒す事ですなぁ〜〜。」
期待どおり観衆の注目の的となった事で演技に熱が入る斎藤。
だがしかし、気付いた時には、目の前の男が発する殺気はもはや素人でも危険だと理解出来るレベルにまで達していたのだ…………!
「ハァァァァァ〜〜ッッッ!!」
そして、お約束とばかりに吹き飛ぶ上着。その胸には当然、7つの傷がありありと浮かび上がっていた。
斎藤をはじめ、周りの人々も正に蛇に睨まれたカエルのように、身動きひとつ取れないでいる………。
…………と、
ゴチン☆
斎藤が、足をもつれさせて、転んだ。
見事に額を地面に打ちつけ、出血した斎藤。
「………………………い、」
そして、緊張と恐怖のあまり、
「いてえよ〜〜〜〜〜〜!!!」
…………………………キレた。
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