【禁断の恋】赤い嘘【完】
「……――佐原!」
「え……?」
意識を飛ばしていた私は、突然大声で自分の名前を呼ばれ現実世界へと引き戻された。
「何ボケっとしてるんだ!早く問一の答えを言え!」
「はい……えっと……」
急いで教科書を捲ってみるものの、すぐに答えられるほど賢くない。
「……y=3……」
すると隣の席から微かに聞こえた問一の答えと思しき単語。
「……y=3です」
「正解だ。でもこんな簡単な問題に時間かけすぎだぞ」
「すいません……」
素直に謝る私に気を良くしたのか、数学教師はくるっと背を向け再び黒板に数式を書き始めた。