【禁断の恋】赤い嘘【完】
【9月16日】


姫華が男と化学室にいた。あいつのことだし、その気になれば男の一人や二人簡単につくれるだろう。
そう考えると妙にイラつく。

勢いでキスをして、姫華を傷付けた。
俺は最低な男だ。

姫華に好きだと言われてもわざと突き放した。

俺がその台詞を言いたかった。
その場で抱き締めて姫華を自分のものにしたかった。

でも俺にはそれが出来なかった。

姫華と一線を越えてしまえば、姫華から大切な家族を奪うことになる。

両親に俺達の関係を隠し続け、一生罪悪感を背負って生きていくことになる。

俺に覚悟はできている。
でも、姫華には……


ごめんな。

俺も好きだ。

姫華が、ずっと姫華だけが。


日記の中の字が所々滲んでいる。


星矢はこの日記を書きながら泣いていたんだろうか?

苦しんでいたのは私だけじゃない。


星矢も苦しんでいたんだ。

それに気付かず悲劇のヒロインぶっていた自分が情けない。

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