【禁断の恋】赤い嘘【完】
「……はいはい。分かりましたよ!」


断れるはずがないと見越した私はハァと深い溜め息を吐いた。


「でもお父さん仕事休んで大丈夫なの?」


母は専業主婦、でも父は中小企業とはいえれっきとしたサラリーマン。


一週間も休んで会社をクビにならないのだろうか?


「お父さんなら大丈夫。今まで有給一度も取ったことないし」


「あ……そう」


私の心配など無用だったようだ。


母はそんな私の心配をよそに父の荷物の入ったボストンバッグを玄関までてきぱきと運んだ。
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