【禁断の恋】赤い嘘【完】
「姫華?ここにいるのか?」


でも私の名を呼ぶその声は、


「……大丈夫か?」


誰よりも愛しくて誰よりも遠い存在の星矢だった。


「………星矢!」


私は思わず星矢に抱きついた。


「何でこんなところにいるんだよ?」


「だって、停電して……懐中電灯探しに……」


「は?お前の部屋に懐中電灯あるだろ?」


「あ……確かに……」


“停電した時用に”そう言って母が私の為に買ってくれた懐中電灯の存在を錯乱した頭で考える事は不可能だった。
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