【禁断の恋】赤い嘘【完】
「ありがとう……」
こうやって星矢に抱きしめられたのはいつ以来かな?
あんなにも触れたいと思っていた星矢の体は温かくて大きくて。
星矢が男だということを実感した。
「ねぇ、星矢。何でこんなにビショ濡れなの?」
「さっき母さんから電話がきて姫華が家に一人でいるって聞いたから」
「もしかして……私の為に急いで帰ってきてくれたの?」
「別に急いでねぇよ。今日はたまたま用がなかったから、早く帰ってきただけ」
そうぶっきら棒に言い放つ星矢が愛おしい。
……でも星矢は嘘を付いている。
星矢の鞄の中にある携帯のバイブ音が数分おきに鳴り響いていたことに私は気付いていた。
それが全てを物語っていた。