【禁断の恋】赤い嘘【完】
「あ、ねぇ。茄子安いよ?」


“98円!!!”


そう赤文字で書かれているのを見るかぎり、今日は茄子の特売日のようだ。


私は茄子のあるコーナーに目もくれず通り過ぎた星矢を呼び止めた。


「お前茄子食えねぇだろ?」


「え?」


「お前昔から茄子嫌いだろ?食いたいなら買ってもいいけど」


「あ……ううん。やっぱり買わなくていい」


『お前茄子食えねぇだろ?』


星矢覚えててくれたんだ。

幼い頃から好き嫌いのない私が唯一苦手とするもの。

そんな小さな事を星矢が覚えていてくれたと思うだけで、私の心はポッと温かくなった。
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