【禁断の恋】赤い嘘【完】
「目開けて?」


低く擦れたその声に恐る恐る目を開けると、星矢の顔が目の前にあった。


顔を少しでも動かせば星矢と唇が触れ合ってしまいそうで。 


星矢の茶色い瞳に吸い込まれてしまいそうで。


私は息をすることを忘れ星矢を見つめた。


「……すげぇバカ面」


すると星矢は私からパッと離れクスッと笑った。 


「お前って本当冗談通じないんだな?」


そして私を見下ろしながら冷めた目でそう言った。



「……――っ!星矢のバカ!!」


一気に恥ずかしさが込み上げ、私はソファーの上にあったクッションを思いっきり星矢に投げつけた。


そして星矢に背を向けリビングから飛び出した。 
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