フタリの事情。
バク。


ドキ、とか、ドクン、とか。

そんなカワイらしい音じゃない。


こうして名前呼ばれただけで、心臓、破裂すんじゃないかって。

そんくらい、胸んトコ、バクバクしてる。



今目の前にいんのが、例の幼馴染。

上原りい。





――俺、さ。

もう何回も言ってっけど。


それ聞き飽きた、って思われるかもだけど。



「部活終わったんだ?
早かったね」



マジ、すげー好きなんだよ。



「……てっちゃん?」


こいつのこと。


「うん、お待たせ」


気付かれないように、細くはいた深呼吸。

その後、やっとそれだけ言うとりぃはちっちゃくえくぼを作った。

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