フタリの事情。
――“てっちゃん”――



りぃは昔から、俺のことをそう呼ぶ。

“テツタ”って名前で呼ばれてみたいなって思うこともあるけど。



俺のこと、“てっちゃん”なんて呼び方すんのは、こいつだけだから。

それが特別に思えて、俺は聞く度に嬉しかったりするんだ。





「てっちゃん、急いで来たの?」


「えっ?」


そりゃもー、すげー急いで来たけど!

どうして分かんのっ?


「毛先、濡れてるよ?」


あ……


いつもは部活終わり、そのまんま帰るけど。

リイと会うのに汗くさいのとか絶対イヤだから、シャワー浴びてきたんだよな。


でも、タオルで適当に拭いただけだったから……



「ちゃんと拭かなきゃ、カゼひいちゃうよ?
そういうとこ、ほんとてっちゃんは大ざっぱなんだから」


カバンの外ポケットからリイが出したのは、青と白のストライプ模様のタオル。


「準備いいでしょ?
こうなると思って、持ってきてたの」

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